2010年12月6日月曜日

肝炎治療における連携システム

東部肝の2日目の午後のワークショップで肝炎ウイルス検診と医療連携の問題が議論されましたが、山梨大学が紹介した慢性疾患診療支援システムは出色の出来でした。
http://www.manseisien.jp/system5.html

IDとパスワードを入れればどこからでもデータが参照できること、大学病院ではデータがそのまま支援システムに流し込まれること、IFNやリバビリンの体重あたりの投与量もリアルタイムにモニターでき、adherenceの維持に役に立つことなど、欲しいと思った機能はほとんど実現されていました。

こういうシステムが大学や地域を越えて広がって、ゆくゆくは全国レベルの患者診療システムに成長すればいいなと感じました。

2010年12月5日日曜日

発癌抑制のためにAFP<10を目指す(C型肝炎)

東部肝2日目のランチョンセミナーで武蔵野赤十字病院の朝比奈靖弘先生の「我が国の現状を考慮したC型肝炎の治療戦略」を聞きました。

その中で、IFN治療後のAFPの平均値で発ガン率が大きく異なることが報告されました。AFPが平均10未満で発ガン率が低く、10未満に保つのが望ましいとの発表でした。

IFN少量長期投与でもAFPの低下が観察されますが、今回の成績はIFN少量長期投与の治療適応、治療目標を設定する上で大変参考になりました。

2010年12月4日土曜日

C型肝炎の治療予測におけるIL-28遺伝子多型の意義(東部肝)

12月2日~3日、肝臓学会の東部会に参加してきました。2日目のパネルディスカッション「C型肝炎診療の現在・未来」の中で、治療効果予測因子としてIL-28の遺伝子多型が多数例の症例で検討されて発表されていました。


確かに今までのマーカーの中では最も予測的中率は高いのですが、10%前後の症例で予測とは異なる結果になっていることも明らかとなりました。進行例で、新規の薬剤を待てない症例については、まず投与を行ってみて反応があれば72週の長期投与を行うなどするのが現実的対応であるとのニュアンスでした。


ただ、IL-28 の治療予測も現行のペグリバ併用療法で的中率が高く、現在治験が進行中の新規のプロテアーゼ是阻害薬では、治療困難例でもSVRになっていることも報告されていました。


 



2010年11月7日日曜日

自己免疫性肝疾患における抗核抗体の測定について

JDDW2010のポスターで自己免疫性肝炎における抗核抗体はELISA法よりも、昔ながらのIF法の方が感度が高い報告がなされていました。

これは、ELISAで使用している抗原がSLEに特異度の高いもので、自己免疫性肝炎に反応する抗原が固相化されていないためと説明されていました。

その発表を聞いて、自分がフォローしている自己抗体陰性(ELISA法による抗核抗体陰性)の原発性胆汁性肝硬変でIF法の抗核抗体を測定すると320倍と強陽性でした。昔ながらの検査にも良いところがあるのですね。勉強になりました。

2010年10月10日日曜日

B型肝炎再活性化による劇症肝炎の現状と対策

B型肝炎再活性化による劇症肝炎の現状と対策(日消誌107: 1426-1433, 2010)

移植や抗癌剤治療、さらにはTNF-α抗体など免疫を強く抑制する治療でB型肝炎が再活性化され、劇症化する症例が報告されています。
本論文は、そのまとめで対策のガイドラインも掲載されています。
報告例では悪性リンパ腫の治療例が多く、特にリツキシマブの使用例が多いことが最近の特徴です。
それを踏まえての診療ガイドラインが作成されています。

2010年7月30日金曜日

メタボの生活指導に有用な本が出版されました  

兵庫で整形外科を開業する中村巧先生がご自身のメタボ対策を1冊の本にまとめられました。
100歳を超えて人生を走れる身体づくり―Dr.中村&Dr.坂東の 目からうろこの21世紀の新しい食事と運動療法

メタボリック症候群の治療で最も難しいのが治療です。多くの内科医が減量に成功できず、薬物療法主体で治療をしているのが現状です。
整形外科医である著者が、内科医の視点とは全く違った方法で減量プログラムに成功し、そのノウハウを余すことなく公開されています。
内科医である私が本書を読んだ時に目からウロコの連続であるとともに、自分の不勉強を大いに恥じました。
本書を参考にメタボの患者さんの減量に取り組むとともに、メタボの患者さんの予後を左右するであろう筋肉量低下によるロコモーティブ症候群に対しても積極的に介入していきたいと思いました。