2007年11月18日日曜日

自己免疫性肝炎と誤診しかけた薬物性肝障害

一般の方は健康食品で肝障害をおこす認識はほとんどなく、病歴を聴取する時に「クスリ」として申告してくれないことがしばしばあります。

今回は、自己免疫性肝炎と誤診しそうになった症例を紹介します。症例は47歳、女性。SLEで経過観察中でした(ステロイド内服なし)。肝障害の悪化があり精査目的で入院となりました。抗核抗体2560倍、γグロブリン1.47g/dl、ウイルスマーカー陰性、飲酒なし。以上の病歴から自己免疫性肝炎の国際スコアが生検所見なしでも14点(疑診)であり、自己免疫性肝炎を強く疑いました。 10月6日に肝生検を施行。炎症細胞浸潤はほとんどなく、肝細胞の変性所見が目立ち、代謝障害が疑われる組織像でした。病歴を再度聴取すると、入院の1年前から健康食品を内服し 、入院1ヶ月前より内服量を増量していたことが判明しました。健康食品を10月8日から中止すると肝機能は1週間後あたりから著明に改善しました。

最近は健康食品による薬物性肝障害も増加しています。2005年の肝臓学会誌に民間薬、健康食品による薬物性肝障害の論文も掲載されており、肝炎の鑑別として注意が必要な領域と思います。http://www.jstage.jst.go.jp/article/kanzo/46/3/142/_pdf

2007年11月11日日曜日

慢性肝炎の治療ガイド 2008

日本肝臓学会 編纂の「慢性肝炎の治療ガイド 2008」が  文光堂から発行されました (2007/10)。

内容は急性肝炎から肝癌まで広範にわたっていますが、非常にコンパクトにまとまっており、研修医の先生にはお勧めですし、予備知識のある患者さんも十分理解できる内容と思います。

肝臓学会公認の本ですので、現時点では最も信頼に足る内容を持った本といえます。

http://www.amazon.co.jp/%E6%85%A2%E6%80%A7%E8%82%9D%E7%82%8E%E3%81%AE%E6%B2%BB%E7%99%82%E3%82%AC%E3%82%A4%E3%83%89-2008-%E6%97%A5%E6%9C%AC%E8%82%9D%E8%87%93%E5%AD%A6%E4%BC%9A/dp/4830618671/ref=sr_1_1?ie=UTF8&s=books&qid=1198033046&sr=1-1