2008年1月27日日曜日

循環障害による急性肝障害①

循環障害から急性肝炎によく似たデータを示す病態がいくつかあります。今回と次回はそういった病態を紹介します。
1回目は急性心筋炎に伴う著明な肝障害例です。

61歳男性
主訴:発熱、咳
現病歴:3日ほど前より発熱あり、家で市販薬内服し様子を見ていた。風邪の精査目的で当院呼吸器内科を受診。11年ほど前に肝機能異常を指摘されたことがあり、消化器内科もついでに受診。飲酒歴があったためアルコール性肝障害疑いとして検査を進めた。

CRP 11.30 mg/dl, Alb 3.8 g/dl, ZTT 3.9 KU, TTT 0.3 KU, ChE 289 IU/l, T-BIL 0.6 mg/dl, D-BIL 0.2 mg/dl, AST 2465 IU/l , ALT 1649 IU/l, LDH 4389 IU/l, ALP 355 IU/l, LAP 102 IU/l, γ-GTP 141 IU/l, Cr 2.06 mg/dl, BUN 45 mg/dl, TCH 176 mg/dl, AMY 90 IU/l, LPS 104 IU/l, NH3 59 μg/dl
WBC 8500, Hb 15.0 g/dl, Plt 14.2万, PT 16.1秒(PT活性 69.0 %)

超音波では下大静脈、肝静脈の拡大と胆嚢壁の著明な肥厚を認めるとともに心臓の運動低下を認めました。


本例は血圧が低く、循環器内科で精査したところ心筋酵素の逸脱やBNPの上昇、心電図異常を認め心筋炎と診断された。CCUに収容し、循環動態が改善することで肝機能も急速に改善した。
BNP 682.2 pg/ml, TnT-1 (+), CK 2918 IU/l, CK-MB 132.8 IU/l

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