最近、メタボリックドミノという概念が提唱されています(慶応大学内科、伊藤裕先生)
メタボリック症候群は複数の異常(食後高血糖、高血圧、脂質異常症)が同時多発性に進行していってさまざまな病気を起こす状態で、ドミノ倒しによく似ています。
初期の段階であれば、倒れるコマ(病気)も少なくて、進行を抑えることも可能ですが、ある程度病気が増えてからの進行予防はきわめて困難です。
伊藤先生は早期の段階での治療を提唱されています。
最近の健診のデータを見ても、超音波検査で受診者の2割以上に脂肪肝を認めており、初期から脂肪肝になっている方が多いと思われます。
メタボリックドミノで「脂肪肝」とされているのは肝硬変・肝臓癌に進行する可能性を持った「脂肪性肝炎」に相当するのではないかと思います。
個人的には、「脂肪肝」は図の上流の肥満とインスリン抵抗性のあたりに位置付けることができると思います。
健診で脂肪肝と診断されたら、将来的にはメタボリックドミノに進むと認識して、生活習慣の改善に取り組むことが重要と思います。
実際に、メタボ状態とそうでない脂肪肝の患者さんを比較すると、生活指導の反応性がかなり異なっています。メタボのない患者さんの方が、痩せやすく、血液検査値も改善しやすい傾向になっています。
メタボ状態の患者さんは平均年齢が高く、筋肉量も低下しています。
筋肉は「かまど」のようなもので、食物のエネルギーを燃やす臓器であることを以前のブログで紹介しました。
筋肉をつけないと痩せられない(クロワッサン2011年6月10日号)
メタボリック症候群が進行した人は「かまど」が小さく、食べたものが燃えにくく、余ったエネルギーは脂肪として蓄積しやすいと言えます。こういった悪循環を断ち切るためにも、早期の段階での生活指導が望ましいと言えます。
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