筑波大の中田由夫先生らのグループは、メタボ症例に対する生活介入において食事・運動の両方を指導した群で高い治療効果が得られたことを報告されています。
具体的な指導内容は、1日の食事摂取量が、男性1600kcal、女性1200kcal、運動は毎日30分で週1000-1500kcalです。
指導は集団指導形式で行い、仲間意識を持たせることで、脱落率が食事療法のみ2.5%、食事+運動療法で5.4%ときわめて低いのが特徴です。
2011年10月25日火曜日
2011年8月24日水曜日
健診「所見あり」増加中
岡山労働局の調査によると、岡山県の労働者の健康診断有所見率が全国平均を上回って増加していることが8月22日付の山陽新聞に掲載されていました。
異常の内訳は、血中脂質36.2%、肝機能17.6%、血圧16.9%、血糖14.1%と生活習慣病関連が多くなっています。
不規則な勤務体系になりがちな業種での有所見率が高いことに加え、岡山県ではマイカー通勤者が多いことから運動不足になり異常が増えていると分析されていました。
家庭で手軽に出来る運動プログラムの必要性が感じられます。
異常の内訳は、血中脂質36.2%、肝機能17.6%、血圧16.9%、血糖14.1%と生活習慣病関連が多くなっています。
不規則な勤務体系になりがちな業種での有所見率が高いことに加え、岡山県ではマイカー通勤者が多いことから運動不足になり異常が増えていると分析されていました。
家庭で手軽に出来る運動プログラムの必要性が感じられます。
2011年6月24日金曜日
歯周病が糖尿病や動脈硬化を悪化させる
6月22日放送のNHKためしてガッテン「緊急警報 免疫力を低下させ突然死を招く感染症が全国まん延中」で、歯周病菌が糖尿病や動脈硬化を悪化させる原因になっていることが紹介されました。
歯ぐきで歯周病菌が繁殖すると、体の免疫細胞が歯周病菌と戦うために集まってきます。歯周病菌をやっつけるために免疫細胞のマクロファージが仲間を呼ぶためにある物質(TNF-α)を放出しますが、この物質は一方で血液中のインスリンの働きを低下させ、糖尿病を悪化させます。番組ではインスリンの働きを阻害することから「阻害君」と呼ばれていました。
歯周病菌は歯ぐきから血管の中に入って、血液に含まれる血小板の中に入って血管の中を移動します。さらに菌から出る毒は、血小板や赤血球を集めて塊にしてしまう事が実験でわかりました。これが血管を詰める動脈硬化巣になっていきます。
歯周病のことを軽く見てはいけない。しっかりとケアをしていかなければと思いました。
歯ぐきで歯周病菌が繁殖すると、体の免疫細胞が歯周病菌と戦うために集まってきます。歯周病菌をやっつけるために免疫細胞のマクロファージが仲間を呼ぶためにある物質(TNF-α)を放出しますが、この物質は一方で血液中のインスリンの働きを低下させ、糖尿病を悪化させます。番組ではインスリンの働きを阻害することから「阻害君」と呼ばれていました。
歯周病菌は歯ぐきから血管の中に入って、血液に含まれる血小板の中に入って血管の中を移動します。さらに菌から出る毒は、血小板や赤血球を集めて塊にしてしまう事が実験でわかりました。これが血管を詰める動脈硬化巣になっていきます。
歯周病のことを軽く見てはいけない。しっかりとケアをしていかなければと思いました。
2011年6月10日金曜日
メタボリックドミノ
最近、メタボリックドミノという概念が提唱されています(慶応大学内科、伊藤裕先生)
メタボリック症候群は複数の異常(食後高血糖、高血圧、脂質異常症)が同時多発性に進行していってさまざまな病気を起こす状態で、ドミノ倒しによく似ています。
初期の段階であれば、倒れるコマ(病気)も少なくて、進行を抑えることも可能ですが、ある程度病気が増えてからの進行予防はきわめて困難です。
伊藤先生は早期の段階での治療を提唱されています。
最近の健診のデータを見ても、超音波検査で受診者の2割以上に脂肪肝を認めており、初期から脂肪肝になっている方が多いと思われます。
メタボリックドミノで「脂肪肝」とされているのは肝硬変・肝臓癌に進行する可能性を持った「脂肪性肝炎」に相当するのではないかと思います。
個人的には、「脂肪肝」は図の上流の肥満とインスリン抵抗性のあたりに位置付けることができると思います。
健診で脂肪肝と診断されたら、将来的にはメタボリックドミノに進むと認識して、生活習慣の改善に取り組むことが重要と思います。
実際に、メタボ状態とそうでない脂肪肝の患者さんを比較すると、生活指導の反応性がかなり異なっています。メタボのない患者さんの方が、痩せやすく、血液検査値も改善しやすい傾向になっています。
メタボ状態の患者さんは平均年齢が高く、筋肉量も低下しています。
筋肉は「かまど」のようなもので、食物のエネルギーを燃やす臓器であることを以前のブログで紹介しました。
筋肉をつけないと痩せられない(クロワッサン2011年6月10日号)
メタボリック症候群が進行した人は「かまど」が小さく、食べたものが燃えにくく、余ったエネルギーは脂肪として蓄積しやすいと言えます。こういった悪循環を断ち切るためにも、早期の段階での生活指導が望ましいと言えます。
2011年5月30日月曜日
老化におけるAGE (advanced glycation endproducts) の重要性
5月19日放送の「ためしてガッテン」で、老化に深く関係したAGE (advanced glycation endproducts) が紹介されていました。
AGEはタンパク質が過剰な糖と時間をかけて反応することで生成されます。
AGEはいろいろな臓器に蓄積することで、①皮膚の衰え、②骨のもろさ、③眼の水晶体の濁り、④動脈硬化などを引き起こします。
以前のブログで、高脂血症の薬で悪玉コレステロール(LDL)を下げても、動脈硬化は100%予防できないことを紹介しましたが、この高血糖→AGE生成の経路が関わっている可能性があります。
高血糖を予防する食事療法として、食事の最初に多くの野菜を摂ることが推奨されていました。
これは、野菜で満腹になって、余計なご飯を食べないという効果に加え、食物繊維で糖の吸収が遅れて、血糖値の上昇がゆるやかになることで食後の空腹感が強くならないことがあげられていました。
AGEはタンパク質が過剰な糖と時間をかけて反応することで生成されます。
AGEはいろいろな臓器に蓄積することで、①皮膚の衰え、②骨のもろさ、③眼の水晶体の濁り、④動脈硬化などを引き起こします。
以前のブログで、高脂血症の薬で悪玉コレステロール(LDL)を下げても、動脈硬化は100%予防できないことを紹介しましたが、この高血糖→AGE生成の経路が関わっている可能性があります。
高血糖を予防する食事療法として、食事の最初に多くの野菜を摂ることが推奨されていました。
これは、野菜で満腹になって、余計なご飯を食べないという効果に加え、食物繊維で糖の吸収が遅れて、血糖値の上昇がゆるやかになることで食後の空腹感が強くならないことがあげられていました。
キング・カズ(三浦知良)の食事
サッカー、日本代表、長谷部誠の「心を整える」を読みました。キング・カズ(三浦知良)と一緒に食事をした一節がありますが、その中で、彼のメニュー選びを紹介しています。
「カズさんがキングたる所以は,メニュー選びの時に感じさせられた。野菜をたっぷり注文し,炭水化物はほとんど頼まない。試合の前はエネルギー元となる炭水化物を摂った方がいいけれど,普段は余計な脂肪がついてしまうからだ。やっぱりキングは違うと驚かされた。当然デザートも食べない」
三浦知良氏は今年44歳を迎えましたが、いまだに現役です。
炭水化物を筋肉を使う試合以外の日には極力摂らないようにして体型を維持しているということは、同年代で運動をほとんどしていない男性は炭水化物(ご飯、麺類、パン)をかなり制限しないといけないことになります。
また、野菜を沢山摂ることの効用については、5月18日に放送された「ためしてガッテン」でも紹介されていました。これについては、別の日に紹介したいと思います。
「カズさんがキングたる所以は,メニュー選びの時に感じさせられた。野菜をたっぷり注文し,炭水化物はほとんど頼まない。試合の前はエネルギー元となる炭水化物を摂った方がいいけれど,普段は余計な脂肪がついてしまうからだ。やっぱりキングは違うと驚かされた。当然デザートも食べない」
三浦知良氏は今年44歳を迎えましたが、いまだに現役です。
炭水化物を筋肉を使う試合以外の日には極力摂らないようにして体型を維持しているということは、同年代で運動をほとんどしていない男性は炭水化物(ご飯、麺類、パン)をかなり制限しないといけないことになります。
また、野菜を沢山摂ることの効用については、5月18日に放送された「ためしてガッテン」でも紹介されていました。これについては、別の日に紹介したいと思います。
2011年5月22日日曜日
脂肪肝の生活指導の難しさ
脂肪肝を始めとする生活習慣病の治療において生活指導は最も重要な柱ですが、実践は難しいのが現実です。
本論文においては、生活指導がうまく行かなかった症例について検討されていますが、30~50代の働き盛りで多いこと(図)、うまくいかなかった理由として、仕事が忙しくて定期受診ができなかった(46%)、自分の病気について十分理解していなかった(23%)、プログラムに興味なかった(7%)、家族の介護(5%)が挙げられています (J Gastroenterology 44: 1203, 2009より引用)
日常の外来で感じていることがそのままデータになった印象を受けました。
この問題点を解決していかない限り、有効なメタボ対策を実施するのは難しいと感じますが、最近のIT技術の進歩を見ているとこれらの問題を解決する可能性をもった技術も出現しているように思います。
特にスマートフォンは、本論文でドロップアウトした働き盛りの世代が多数所有しており、将来有望と思われます。
本論文においては、生活指導がうまく行かなかった症例について検討されていますが、30~50代の働き盛りで多いこと(図)、うまくいかなかった理由として、仕事が忙しくて定期受診ができなかった(46%)、自分の病気について十分理解していなかった(23%)、プログラムに興味なかった(7%)、家族の介護(5%)が挙げられています (J Gastroenterology 44: 1203, 2009より引用)
日常の外来で感じていることがそのままデータになった印象を受けました。
この問題点を解決していかない限り、有効なメタボ対策を実施するのは難しいと感じますが、最近のIT技術の進歩を見ているとこれらの問題を解決する可能性をもった技術も出現しているように思います。
特にスマートフォンは、本論文でドロップアウトした働き盛りの世代が多数所有しており、将来有望と思われます。
2011年5月19日木曜日
動脈硬化の危険因子はLDLコレステロールのみか? R3iの取り組み
わが国では、死亡原因の第2位が心筋梗塞、狭心症などの心疾患、第3位が脳梗塞、脳出血などの脳血管疾患であり、両者を合計すると日本人の約3割が心血管疾患で死亡しています。
これらの心血管疾患に関係しているのが動脈硬化で、その発症・進展にLDLコレステロールが大きく関わっていると考えられ、現在ではスタチンを中心とする脂質低下療法が広く行われるようになり、それにより動脈硬化性疾患の発症リスクが減少することが数々の大規模スタディが証明しています。
しかしながら、近年登場した強力なスチタンでLDLコレステロール値を下げても、動脈硬化性疾患を確実に抑止できていません。
例えば、海外でアトルバスタチン80mg/日という高用量(国内では重症の家族性高コレステロール血症に対する最大用量が40mg/日)を用いて行われたスタディでは、同薬を10mg/日 用いた場合に比べて心血管イベント発生が6年間で10.7%が8.7%に減少して、相対リスクが22%減少していますが、大幅に抑止することに成功していません(N Engl J Med 352: 1425-1435, 2005)
この成績は動脈硬化性疾患を確実に抑えるには、LDLコレステロール値の管理だけでは不十分で、なんらかの「残された危険因子」があることを示しています。
その答えを探るために2008年に「R3i(Residual Risk Reduction Initiative)」という世界的な取り組みがスタートしました。これは世界40ヵ国で指導的な立場にある心疾患や内分泌領域の専門家が参加し、心血管疾患と細小血管障害について国際的な調査を進めるプログラムです。
www.r3i.org
高LDLコレステロール血症以外の危険因子としては現在、高トリグリセライド血症(とくに食後高トリグリセライド血症)、低HDLコレステロール血症、small dense LDLなどが知られており、これらへのアプローチもR3iプログラムの研究課題になっています。
これからの研究成果に期待したいと思います。
これらの心血管疾患に関係しているのが動脈硬化で、その発症・進展にLDLコレステロールが大きく関わっていると考えられ、現在ではスタチンを中心とする脂質低下療法が広く行われるようになり、それにより動脈硬化性疾患の発症リスクが減少することが数々の大規模スタディが証明しています。
しかしながら、近年登場した強力なスチタンでLDLコレステロール値を下げても、動脈硬化性疾患を確実に抑止できていません。
例えば、海外でアトルバスタチン80mg/日という高用量(国内では重症の家族性高コレステロール血症に対する最大用量が40mg/日)を用いて行われたスタディでは、同薬を10mg/日 用いた場合に比べて心血管イベント発生が6年間で10.7%が8.7%に減少して、相対リスクが22%減少していますが、大幅に抑止することに成功していません(N Engl J Med 352: 1425-1435, 2005)
この成績は動脈硬化性疾患を確実に抑えるには、LDLコレステロール値の管理だけでは不十分で、なんらかの「残された危険因子」があることを示しています。
その答えを探るために2008年に「R3i(Residual Risk Reduction Initiative)」という世界的な取り組みがスタートしました。これは世界40ヵ国で指導的な立場にある心疾患や内分泌領域の専門家が参加し、心血管疾患と細小血管障害について国際的な調査を進めるプログラムです。
www.r3i.org
高LDLコレステロール血症以外の危険因子としては現在、高トリグリセライド血症(とくに食後高トリグリセライド血症)、低HDLコレステロール血症、small dense LDLなどが知られており、これらへのアプローチもR3iプログラムの研究課題になっています。
これからの研究成果に期待したいと思います。
2011年5月11日水曜日
日本の中学生における脂肪肝
日本の中学生における脂肪肝 J Gastroenterology 45:656-665, 2010
2004年と2007年に長野県の中学生を対象にした調査で、約4%の生徒が脂肪肝であることが判明しました。
各種習慣と脂肪肝の関連は以下の表の通りで、問題になる生活習慣が明らかになりました。
この結果を見ると、中学生から正しい生活習慣を身に付けることが重要であることが再認識されます。
2004年と2007年に長野県の中学生を対象にした調査で、約4%の生徒が脂肪肝であることが判明しました。
各種習慣と脂肪肝の関連は以下の表の通りで、問題になる生活習慣が明らかになりました。
この結果を見ると、中学生から正しい生活習慣を身に付けることが重要であることが再認識されます。
2011年5月9日月曜日
脂肪分を摂っていなくても体脂肪が増えることが・・・
健診で高脂血症を指摘されて受診される患者さんの多くが「私は油分は控えているのに、どうして脂肪が多いのか分からない」と話されます。
この体脂肪の大本は「糖質(炭水化物)」の摂り過ぎなのです。
炭水化物は本来は筋肉を動かすためのエネルギーでクルマにたとえるとガソリンです。
クルマの場合はガソリンタンクが一定で、ガソリンを無尽蔵に蓄えることはできませんが、人の場合は脂肪組織の中で糖質が脂肪に変わって無尽蔵に貯まっていきます。
これが脂肪組織です。
日本人は摂取エネルギーの6割を糖質(炭水化物)で摂っていますから、1600kcalを摂取している人は約1000kcalが糖質です。
これを運動で消費しようとすると大変なことがよく分かります。
痩せようと思ったら、糖質(炭水化物)の制限が重要です。
そして、運動を行ってカロリーの少量を少しでも多くすることも重要です。
この体脂肪の大本は「糖質(炭水化物)」の摂り過ぎなのです。
炭水化物は本来は筋肉を動かすためのエネルギーでクルマにたとえるとガソリンです。
クルマの場合はガソリンタンクが一定で、ガソリンを無尽蔵に蓄えることはできませんが、人の場合は脂肪組織の中で糖質が脂肪に変わって無尽蔵に貯まっていきます。
これが脂肪組織です。
日本人は摂取エネルギーの6割を糖質(炭水化物)で摂っていますから、1600kcalを摂取している人は約1000kcalが糖質です。
これを運動で消費しようとすると大変なことがよく分かります。
痩せようと思ったら、糖質(炭水化物)の制限が重要です。
そして、運動を行ってカロリーの少量を少しでも多くすることも重要です。
2010年7月30日金曜日
メタボの生活指導に有用な本が出版されました
兵庫で整形外科を開業する中村巧先生がご自身のメタボ対策を1冊の本にまとめられました。
100歳を超えて人生を走れる身体づくり―Dr.中村&Dr.坂東の 目からうろこの21世紀の新しい食事と運動療法を
メタボリック症候群の治療で最も難しいのが治療です。多くの内科医が減量に成功できず、薬物療法主体で治療をしているのが現状です。
整形外科医である著者が、内科医の視点とは全く違った方法で減量プログラムに成功し、そのノウハウを余すことなく公開されています。
内科医である私が本書を読んだ時に目からウロコの連続であるとともに、自分の不勉強を大いに恥じました。
本書を参考にメタボの患者さんの減量に取り組むとともに、メタボの患者さんの予後を左右するであろう筋肉量低下によるロコモーティブ症候群に対しても積極的に介入していきたいと思いました。
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